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エチオピア旅行記1 ゴンダール・シミエン編

2月13日〜2月21日

● インジェラと私●
私がインジェラと出会ったのは、忘れもしない4回目の結婚記念日の日でした。エチオピアに入国早々、この国の勝手がわからずうろうろと町をさまよっているとき、偶然出会ってしまったのです。ひと目惚れならまだよかったのですが、実際はそうではなかったのです。最後にはぞっこんに惚れ込んでしまったので、最初出会ったときの印象はだいぶおぼろげになってしまいましたが、個性的だな、というのが私の抱いた印象だったと思います。
それから私はいつの間にかインジェラの虜となっていました。何度も出会いを繰り返しているうちに、だんだんと会わずにはいられない体になってしまったのです。気がついたら、私はインジェラにハマっていたのでした。

見た目、質素で素朴な感じなので、ググッとソソラレルということはありません。欲求をくすぐるようなことはないのですが、よく言えば健康的ということもできます。エチオピアにはツォムといって肉断ちをする習慣があって、私たちが旅行している途中からそのツォムに入ってしまったっため、インジェラはますます肉感を失い、健康的になっていきました。それがまたたまらなく魅力的に思えたものです。

やわらかく指に吸い付くような感触は今でも忘れられません。私の中ですっぱい記憶と一緒に頭の中に刻みつけられています。インジェラとはいろんな場所でいろんな思い出があります。私たち二人とインジェラというシチュエーションが多いのですが、妻が病で臥せっているときなんかに、一人でインジェラと向き合ったりすると、ドキドキしたものです。ある日、インジェラが見つからなくて、気が狂わんばかりに町中を探し回ったこともあります。地元の人々の協力を得て、うまく再会できたときは心からホッとしたものです。ここだけの話ですが、何度も浮気もしました。しかし、浮気をするたびに恋しさが募ってきました。それだけ私にとって魅力のある存在だったのです。

約1ヶ月続いたつきあいでしたが、お別れの日がやってきました。ヤベロという町だったと思います。次の日に国境越えを予定していたので、また明日会えるとたかをくくっていましたが、インジェラとはその日限りでした。本当は、もう少しきちんとしたお別れをしたかったのですが・・・

嫌なことも多かったエチオピアですが、インジェラは最高でした。今となっては、思い出すたびによみがえるなつかしくすっぱい記憶でしかありません。
またエチオピアに行ってインジェラに会いたい。これはまぎれもない私の本心です。果たしてそんな日は訪れるのでしょうか。

これから展開されるエチオピア日記の陰には常にインジェラの存在があったということを読まれる皆様の頭の片隅にでもとどめて頂けたら幸いです。
(愛しのインジェラへ捧ぐ (昭浩)

2月13日〜2月21日

エチオピア入国 2月13日

スーダン出国もエチピア入国も実にスムーズだった。ただエチオピアのカスタム(税関)には笑った。原っぱのうえでおじさんがふたりイスに腰をかけている。なんだろう?と思っているとそこがカスタム。青空カスタムだ。少しかばんの中を開けて調べられるが特に何もない。次に横にいた私服のおじさんが手招きして僕らを案内する。このおじさんは何者だろう?エチオピアによくいる自称ガイドで後からチップを要求してくる類かなあ。彼は民家に入ってテーブルの後ろのイスに座った。実はそこがイミグレーションだった。草と木で作った小さなイミグレーション。おじさんが案内しなきゃ誰もわからない。そりゃあ外からみたら普通の民家だもの。質素なカスタムとイミグレである。あまりツーリストが通らないのだろう。

 国境から近くのシャハディーという村までは公共のバスで向かう。こんな辺境のボコボコ道でさえもきちんと国営バスが走っている。チケットだって発券する。…この国はきちんとしている…自分専用の椅子があるというのはいいものだ…ヤギと同じ荷台に放り入れられるスーダンとは大違いだ、そんなことを考えていた。
 景色も少し変わった。今は冬なので枯れ木が多いが、低い木の森が続いている。少なくとも砂漠とはまったく違う。そして牛が多い。アラブ諸国ではほとんど牛を見なかったので、とても新鮮。

 シャハディーは楽しい村だった。この村では外国人はかなりめずらしいらしく、大人も子供もみんな声をかけてくる。子供は声をかけてくるだけでなく、後ろをついてくる。ついてくる子供の数がだんだん増えてくる。たくさんの家来をつれて歩く王様のようだ。ひとりが僕たちの手をとってつなぎはじめると次々と他の子供たちの手が伸びてきて、両腕が小さい手で埋めつくされる。前にも後ろにも子供たち。モテモテである。
今日一日でとてもエチオピアを好きになってしまった。(昭浩)

エチオピアのシャハディの子供
無邪気でかわいいシャハディの子供たち

ゴンダールへ 2月14日

ゴンダールへの道はずっと山道だった。なだらかな高原地帯をくねくねと曲がりながらアップダウンを繰り返す。道は舗装されていない。スーダンの道のように穴がいたるところにあってそれで跳ね上がるということはないが、常にガタガタしている。

朝5時に出発したバスは10時頃にはゴンダールの町に到着した。
バスを降りると道案内を志願する少年たちが寄ってきた。
「どこの宿にいくの?いい宿知っているよ。」
「僕たちは、君らの助けは必要ないんだ。」

バス停から近い宿にチェックインした後、町の中心部に向かう。その途中でもたくさんの子供たちに声をかけられる。
 「マネーマネー」「1ブル」

そんなのばっかり。とても悲しい気持ちになる。無邪気なシャハディーの子供たちが昨日のことなのになつかしい。(昭浩)

ゴンダールの王宮と教会の壁画 2月15日

ゴンダールと言えば、世界遺産にも登録されているゴンダールの王宮である。観光はもう十分、と町中から外観を見て済ますバックパッカーも多い。ゴンダールの町の真ん中にある王宮、その石を積み上げた城壁の内側の敷地には、いろんな王たちによって建てられたいろんな王宮がある。5つか6つほどの王宮が中にはあったと思う。どうせなら大きなものをひとつ作ればいいのに・・・。とても要領が悪いように思う。

僕たちは、この王宮にまつわる歴史をあまり知らない。歴史的背景やこの王宮のどこがすごいのか、そういった知識がひどく欠けている。だからなのか、これらを見ても、ふーん、で終わってしまう。他の国ではなかなかなさそうな特徴をもっているようにも見えるが、どこにでもある凡庸なものにも見える。そんな王宮だった。

3キロほど離れたところには、離宮がある。小学校にあるグランドくらいの敷地の真ん中に2階建ての建物がある。その建物のまわりは大きなプールが囲んでいる。離宮の地下からそのままプールに入れる造りになっている。水がないのが残念。この暑い国で、このプールで泳げたらさぞ気持ちいいだろうな、と想像しながらプールのまわりを歩く。特別これはすごいぞ、というものはなかったが、のんびりした時間がそこを流れていて、そんなのどかな雰囲気は悪くなかった。

その後、デブレ・ビルハン・セラシー教会に行く。ここは、もともといくつもりはなかったのだが、ゴンダールのツーリストインフォメーションのおじさんが「DON’T MISS IT !(見逃すな)」と言って薦めていたので、行ってみることにしたのだ。おじさんの言うとおりその教会はなかなか見る価値のあるものだった。小さな素朴な教会なのだが、中の壁画がおもしろい。これまで見たことのないタッチとモチーフ。ムハンマドが悪魔に連れられてエチオピアにやってくる様子を描いたもの。イスラム教徒が見たら怒りそう。聖なる母マリアが黒人だったりするのもアフリカを感じさせる。ひときわ印象深いものは、天井に整然と描かれたたくさんのアフロヘアーの天使の顔。なぜアフロが天井に・・・?見たら絶対笑える。
これらの壁画はかなり保存状態もよい。色の多くは原色が使われていて目から網膜に直接突き刺すような彩を放っている。王宮もいいけど、これこそ世界遺産ではないだろうか。

その日は、一年以上履き続け、擦り切れたズボンを近くの洋裁店で修理してもらったり、おいしいフレッシュマンゴージュースやフレッシュパイナップルジュースを飲んだりとなかなか充実した一日だったが、標高2200mアップダウンの多いこの町で一日中歩き回ったせいか、すっかり疲れてしまった。明日はまた移動。朝5時起きなので早く寝袋にくるまった。(昭浩)

ユネスコ世界文化遺産ゴンダールの王宮
ゴンダールの王宮群。一応ユネスコ世界文化遺産
ゴンダールの離宮
水のない池の中に立つ離宮

デルバルク到着 2月16日

 「シミエン国立公園でのトレッキングはとてもグッドだ」、ゴンダールのインフォメーションのおじさんは強く薦めていた。

シミエン国立公園でトレッキングが楽しめるというのは、ガイドブックに少しだけ書かれていたのでわかってはいたが、見所は何なのか、何が必要で、どうやって国立公園の入り口までいけばいいのか、まったく情報がない。ネパールのように、ルートが整備されていて、宿も整備されていて、レンタルグッズも用意されていて、といった環境とはまったく違う。いろんな不安の中、トレッキングの基点となる町デバルクに僕たちは向かった。

僕たちはその日朝6時のバスに乗り、4時間程でデバルクに到着した。このルートはエチオピア屈指の眺めのいいルートだ。僕は眠くて、深くて広い谷や広がる草原地帯など、断片的に夢のなかのようなぼんやりした光景を覚えているが、なにせ眠くて、あまり目に焼きついていない。デバルクの村に着く。そこにもツーリストインフォメーションがあった。テントや寝袋、荷物を運ぶ馬などのレンタルもある。僕たちの身をまもってくれるスカウトの金額など、いろんなものがシステマチックに決まっていた。値段もふたりで一日あたり20ドルくらい。高くない。ようやく見えてきた。いけそうだ。しかし、映子が体調を崩す、ここ連日のハードな動きで疲れがたまったのだろう。明日の出発は見送ることにした。(昭浩)

シミエン国立公園トレッキングレポート (1ブル=14円として計算)

エチオピアで一番の眺めとエチオピア人が自慢するシミオン国立公園。何百万年もの火山活動と侵食により造られた壮大な景観が楽しめる。標高3000m近くある高原と標高2000mの台地との間を切り立った崖によって隔てられている。一番の見所であるイメット・ゴーゴーという場所までは、最寄の町デバルクから最短でも往復4日間のトレッキングとなる。アップダウンが多く、毎日が長時間の歩きになるため、体力的にかなりハード。車で行けるサンカバールでもその景観のよさは味わえるが、やはり、どうせ行くなら筆舌に尽くしがたいパノラマを体で感じられるとガイドブックの薦めるイメット・ゴーゴーまで行きたいところだ。

●準備 2月17日<
バルクのツーリストインフォメーションで公園入場料やキャンプ場使用料などを払う。さらにここで、動物たちから自分たちを守ってくれるスカウトやガイド、荷物を運ぶミュール(ラバ)とミュール使いの手配も可能。ガイドは地元のガイド見習みたいな人にたのめば50ブルくらいでできるらしい。スカウトが道を知っているので僕たちはガイドを頼まなかった。寝袋、マットレスも持参していたので借りなかったが、ここでレンタルも可能。僕たちははじめミュールを頼むつもりはなかったのだが、借りたクッキングセットがやたらとかさばるうえ、燃料なんかも重いので、自分たちで担ぐのは無理と判断してミュールとミュール使いをチャーターした

入場料 50ブル/48時間/人
スカウト 30ブル/日
ガイド(オプション) 75ブル/日

ミュール(オプション)

20ブル/日

ミュール使い(オプション)

20ブル/日
キャンプ場使用量 20ブル/48時間/人
テントレンタル(二人用) 25ブル/日

クッキングセット(二人用)

30ブル/日
※テントは、雨よけのためのフライシートを必ずつけてもらってほうがいい。山ではたまに雨が降る。
●クッキングセットの内容
やかん、なべ(大・小)、まな板、大きなナイフ、皿、フォーク、スプーン、カップ、ガソリンを使うコンロ、
ガソリン入れ、クッキングオイル入れ
●僕たちのかかった見積もり(4日間)
入場料 50ブル×2×2人 200ブル(2800円)
スカウト 30ブル×4日間 120ブル(1680円)

キャンプ場

20ブル×2×2人 80ブル(1120円)
テントレンタル 25ブル×4日間 100ブル(1400円)

クッキンググッズ

30ブル×4日間 120ブル(1680円)

ミュール

20ブル×4日間
80ブル(1120円)
ミュール使い 20ブル×4日間 80ブル(1120円)

合計 780ブル(10,920円)

※ミュール…ラバ(馬とロバの交配種)
※スカウト…銃を持ってトレッカーを守ってくれる。道を知ってい るのでガイドの役割も果たすことができる。

チップについて・・・スカウトとミュールマンにそれぞれ20ブル(280円)ずつ渡した。ミュールマンにいたっては1日分の日当にあたるわけだが、彼は水を汲みに行ったり、テントの設営を手伝ったり、一生懸命だったので少し多いかなとも思ったが、スカウトと同額渡した。

●買った食料
じゃがいも 20個(小〜中) 4ブル(56円)
玉ねぎ にんにくサイズのもの両手にのるくらい 1ブル(14円)
ガーリック 2個 0.5ブル(7円)

パスタ 1袋

5ブル(70円)

パスタソース 小さい缶詰2個(1食・2人分)

5ブル(70円)

クッキー 3個

6ブル(84円)
トマト 12個 3ブル(42円)
塩 少々 0.25ブル(3.5円)

ツナの缶詰 2個(スークの半値で売っている人がいた)

10ブル(140円)

パン 大4個(1ブル/個)と中6個(1ブル/個)

7ブル(98円)

チョコレート 1個(パンにぬるやつ)

14ブル(196円)
灯油(kerosene) 4リットル(1日1リットルとして) 20ブル(280円)

クッキングオイル 小瓶一杯分

3ブル(42円)
ひもとずた袋 各2個(荷物をミュールにくくるもの) 10ブル(140円)
合計 88.75ブル(1,222円)

僕たちは何も知らずに来たのですべてデバルクで調達したが、ある程度ゴンダールで調達しておいたほうが安くあがるのではないかと思った。
あと、フルーツ類はこのあたりではとれないので、必要ならゴンダールで買っておかないとデバルクではなかなか手に入らない。あと、パスタや缶詰、クッキーなどもゴンダールで買っておいたほうがベター。デバルクにはそれほどたくさんの食材がないと思っておいたほうがいい。しかし、必要なものはまあだいたい手に入る。個人でも買い物はできるが、僕たちはホテルでウロウロしていた英語の話せる学生に買い物を手伝ってもらった (要チップ) 。水はコイルヒーターで沸かした水を2.5リットル持っていき、後は現地の水を沸かして使う。(はじめ沸かした水を飲むつもりだったが、火力が弱く2.5リットルの水を沸かすにはとても時間がかかるので、結局ピュアという薬を入れて飲んだ)。ちなみにデバルクには、携帯用ガスカートリッジはない。灯油とクッキングオイルは、バス停から少しはいったところにあるマーケットにある油屋で量り売りしている。1日1リットル必要と言われたが、4日で1リットルくらいしか使わなかった。4日で2リットルあれば十分。あまった灯油や古いパンなどの食料は、スカウトにあげると喜ばれる。

●献立一覧
1日目

昼     パン&チョコクリーム

夜     じゃがいもとトマトの煮込み&パン

2日目

朝     パン&ツナの缶詰

昼     パン&チョコクリーム

夜     スパゲッティ・トマトソース

3日目

朝    パン&ゆでたまご&チョコクリーム 卵はギッチで調達

昼    パン&チョコクリーム

夜    スパゲッティナポリタン&スープ

4日目

朝     こふきいも 前夜にこしらえる

昼    クッキー

1日目 2月18日  デバルク7:45 → サンカバール15:10 (20km)

 一番ハードな行程。久しぶりのトレッキング、運動不足、最近あまり高カロリーのものを食べていないことからくるスタミナ不足、そしてアフリカでの旅疲れの蓄積、これらの要因が重なってかかなり体が重い。トレッキングに来たことを本当に後悔したそんな一日だった。(昭浩)

●映子レポート
7:45 出発 スカウトとミュールマン(ラバ引き)が遅刻したり、 ホテルの人が、山に持っていかない荷物を預かってくれない、と言ったり、 そんなゴタゴタがあって7時出発の予定が、遅れて出発。 荷物は結局ホテルのオーナーが預かってくれることになった。 途中マーケットでパンを買ってGO!
8:10 スカウトが行方不明。少し待つ。子供たちがいっぱいよってくる。
9:15 牧場のようなところを歩く。登りが多い。途中ちょっと休む。私たち遅れがち。
10:30 きつい登り。途中木陰で一休み。
11:00 峠を越えて小休憩。そこからしばらくなだらか。
11:30 アラキ(地酒)を飲むスカウトとミュールマン。私たちはランチ。
12:30 民家にてスカウトとミュールマンのランチ(豆とインジェラとコーヒー)私たちはうとうと zzz・・・
13:30 やっと出発。疲れがとれたような増したような。
14:30 またまた登り。きつい、のどが渇く。
14:50 スカウトが車をゲット(ヒッチ)。その車に乗ってサンカバールまで行く。
15:10 サンカバール到着。スプリングウォーターで顔を洗う。気持ちいいー
16:00 ミュールマンがサンカバール到着。テントを張って、料理をはじめる。
18:00 夕食。本日のメニューは、じゃがいもとトマトの煮込み。それとパン。
20:00 就寝

2日目 2月19日 サンカバール8:10 → ギッチキャンプ13:10 (16km)

 僕たちがいる場所は、ちょうど垂直に切り立った崖に囲まれた高台のようなところ。その崖の上の高台から眼下には大きなパノラマが広がっている。景色はいいけど、僕たちの目指すギッチキャンプは、サンカバールの高台とはとなりの高台。一度深い谷を下り、また登らなければいけない。目的地は見えていても精神的にこたえるルートだった。(昭浩)

●映子レポート
8:10 出発。6時に起きたのに、朝食を7時に終えたのに、やっぱりスカウトとミュールマンがなぜか遅い。馬に荷物を載せるのも大変。
8:30 絶壁でヒョエーと思っているとスカウトのじっちゃん消える。なんとしげみでウンコしている!! 違う方向を見ると鹿が走っている。アイベックスかなあー。思わず見れてラッキー。
8:50 今度は私がもよおした。大自然のなかで用を足す。
9:00 「ギッチキャンプは向こう」、とスカウトじっちゃんは言う。ジンバヘルという崖が見える。見晴らしのいいところ。
9:45 ジンバヘルの切り立った崖の目の前のビューポイントで10分休憩。
10:24 となりの崖を登る。つらい登りだ。
11:00 車道と合流。しばらくなだらか。
11:10 バブーン(ヒヒ&サル)を見る。かなりたくさん。親子バブーンがかわいい。
11:25 小川の流れる谷間で10分休憩。
12:00 少しずつでも登りが続いて、つらい つらい つらーい
12:30 村に到着。昼飯の勧誘か、じっちゃん呼び止められるが振り切って先へ進む。
12:50 じっちゃんの口から「ダボ(パンのこと)」とか「インジェラ(エチオピア人の主食)」とかいう言葉が出てくる。 お腹がすいてきたんだろうな。でも私たちは早く着きたい。
13:10 ギッチキャンプ到着。
16:30 料理をはじめる。今日のメニューはスパゲッティ・トマトソース。
19:00 パスタをゆでようとするお湯がなかなか沸かない。すでにサンセットでまわり薄暗い。
19:10 夕食
21:00 就寝
今日の歩きは、長いようで短かった。でも、とにかくのどが痛くてつらい。 トレッキングに行くときは、体調は万全にしておかねばならない。 とっても身にしみた。昨日よりつらく感じたのは疲れとカゼのせいだろう。 今日はゆっくり休んで明日に備えよう。
シミエン国立公園サンカバール
サンカバールから望む風景。男性的でたくましい地形が続く
 シミエン国立公園のヒヒ
途中で出会ったバブーン。なかには赤ちゃんバブーンもいてかわいい
シミエン国立公園の夕日
ギッチキャンプでの夕日。つかれてへとへと。これからだんだん冷えてくる
"

3日目 2月20日 ギッチキャンプ7:20→イメット・ゴーゴー9:00→ギッチキャンプ10:35→サンカバール 14:00(25km)"

崖によって低き場所より隔離されたシミエン、その先端にあるのがイメット・ゴーゴーといわれるポイント。地球の大地をなすプレートの生まれる場所・フォッサマグナ、その生まれたばかりの地球の息吹が感じられるところ。その風景に一通り酔いしれた後、また気の遠くなる程長い道のりを引き返す。ホント、精神的につらいトレッキングだ。(昭浩)

●映子レポート
6:00 起床、といっても昨夜から下痢でほぼ1時間おきくらいでトイレ(というかそのへんの原っぱ)に行っている。でも暗くて遭難しそうになった
7:20 出発。今日は早い。じっちゃんに今日はイメット・ゴーゴーに行きたいと言うと、すぐに出発することになった。なだらかな登りが続く。
8:50  岩に登っては下り…というのを2,3回繰り返してやっとイメット・ゴーゴー。景色がすばらしい。遠くにラスダシャン(エチオピアで一番、アフリカで3番目に高い山)が見える。
9:00 帰路につく。なだらかな下りが続いているのでわりと楽。熱帯っぽい木々が楽しい。
9:30 じっちゃんもよおす。しばし私たち二人だけで歩く。
10:20 ギッチキャンプに戻ってきた。ちょっと休憩。
10:35 ギッチキャンプ出発。じっちゃんの足どりは軽い。小走りにかけていく。少年のようだ。下りが多いから調子に乗っている。
11:00 小さい谷を二つほど越えた。(=小さいアップダウンつづく)
11:20 もうひとつ谷を越える。こんなにいっぱい谷あったっけ?
11:35 わりときれいな水が流れている谷で一瞬休憩。
11:45 バブーンポイント。でも今日バブーンはいない。今日は場所を変えて谷の向こう側にいる。
12:00 しばらくきつい登りの後、5分休憩。
12:25 車道に合流。なだらかな登り坂。
12:40 また小道に入る。ここからしばらく下り。
13:00 小さな窪地を越えて、再び車道に合流。
13:30 登りがつづくつらい車道。急なところが2ヶ所くらいある。5分休憩。もう少しだ。がんばろう。最後の力をふりしぼる。
14:00  やっとサンカバール到着。前は誰もいなかったのにフランス人の団体に占拠されている。なんてこった。(フランス人パーティは、ランドクルーザーでここまで乗りつけ、ノースフェースの高級テントしかもふかふかエアマット付、専属料理人までいる、まさにノーブルなアウトドアライフ。うらやましい限り。くやしいので自分たちの体にいる南京虫をうつしてやろうかと思う。夜な夜な異常な痒みにもだえる、そんなリアルエチオピアを体感させてやるのだ。ふっふっふっby 昭浩)
16:00  オバーランドトラックツアーのトラックがやってくる。今日のサンカバールのキャンプ地はツーリストだけで40人近くいる。2日前は私たちしかいなかったのに。
18:00  夕食 本日のメニューはスパゲッティ・ナポリタン。フランス人パーティの専属料理人から具たっぷりのスープをもらう。
20:30  就寝
シミエン国立公園イメットゴーゴーへ行く道中
イメットゴーゴへ行く途中。巨大な針のような植物がぽつぽつと生える
シミエン国立公園イメットゴーゴー
スカウトのじっちゃん。しっかり肩に手をまわしている
シミエン国立公園イメットゴーゴー
イメットゴーゴーからの風景。壮大な風景にしばし見とれてしまう

4日目 2月21日 サンカバール 7:17 → デバルク 13:05 (20km)

●映子レポート
6:00 起床。昨夜も下痢で12時半、3時、5時の3回起きた。
7:17 出発。じっちゃんとミュールマンが早く帰りたいのか、やる気まんまんであせらされる。
7:30 登り道にさしかかろうというところで、じっちゃんとミュールマンはラバの積荷を積み直している。私たちは先に進んで、景色のいいところで写真を撮っている。
8:10 登りが終わりなだらかになって、ラバの調子も良さそうと思ったら、また積み直し。また私たちふたりだけで下り道をいく。
8:18 下痢の波が襲ってきて、岩陰で用を足している間にじっちゃんたちに追い抜かれる。そこから少し登ったところは右側がパノラミックビューでいい感じ。
8:35 このあたり車道と小道をいったりきたり、アップダウンも少しある。
8:55 3日前車をヒッチしたあたりの車道。ここから少し登る。
9:00 急な下り。これを登るのはきつかったなあ、と思いながら…
9:17 車道に出る。じっちゃん歌い出す。
9:25 小道に入って少し下り、川を渡ってまた登り。
9:35 長く続く下り。少し急なところもあり
9:48 長い登り。しかも急。つらい。つらくなってきた。
10:00 3日前コーヒーブレークした(じっちゃんたちがごはんを食べた)家。ここから、しばらくなだらか。
10:04 と思ったらまた登り。子供たちが「サラーム!」と言ってくるけど握手する気力がない。はっきりいってウザイ。
10:12 車道に出る。少しなだらかにアップダウンつづく。ここからはるかかなたにまだイメット・ゴーゴーが見える。本当に彼方。
10:35 急な下り。こんなのよく登ったなあと思いながら。右側の景色がGOOD。イメット・ゴーゴーはまだ見えた。
10:56 下りが終わってなだらかなアップダウン。
11:19 またしても登り。
11:40 登りが終わって下り。急なところは少しだけ。
11:54 子供が寄ってくるのがウザイが、休憩。クッキーを食べる。
12:00 なだらかな道を歩きはじめる。
12:09 川を渡って、少し登ると牧場の風景が広がる。
12:25

最後の登り。とってもとってもつらい。人も増えてきて、あいさつするのもたいへん。

12:38 坂を登りきって車道にでる。ここまで来ると町はかなり近い。子供たちが寄って来る。かわいい子もいるけど、しつこいのが多い。じっちゃん子供に石を投げる
13:05 やっとデバルク到着。行きとは違う道を通ってきたので、遠く感じた。最後の最後に少し登りがあった。

このトレッキングは、とにかくつらかった。
理由その1   体調が悪かった。
その2   歩く距離が長い。
その3   アップダウンが多い。
その4   自分のペースで行けない。
 だけど、景色はすごくよかった。歩いているときは、こんな思いしてまで、来る価値あるのかなと思ったけど、後から考えると来てよかったと思える。(映子)

●デバルクからシレへのアクセスについて
デバルク発のシレ行きのバスはない。だから、ゴンダール発シレ行きのバスを拾って乗ることになる。ゴンダールの旅行代理店もデバルクにいるガイドもこう言う。「デバルクではバスのチケットは買えない。一度ゴンダールに戻るか、誰かにゴンダールまで行ってもらって買って来てもらわないといけない。」ウソである。そうやってチケットの購買代理を仕事としているのである。僕たちも「シレにいつまでたっても行けないぞ」とさんざん脅された。しかし、実際はバスがデバルクに到着するとデバルクでチケットを売りはじめる。ゴンダールに行ってチケットを買うはずのチケット購買代理人もデバルクで買っていた。(同じ宿に泊まっていた欧米人が頼んでいた)

● トレッキングを終えて
僕は「山歩き辛さの公式」という独自の公式を持っている。それは

(山の上で過ごす時間)−(山を登る時間+山を下りる時間)

もう少し簡単にいいかえれば、(楽しい時間)−(辛い時間)となる。この数値が高ければ楽しいと感じ、低ければ辛く感じる。マイナスならかなり辛いものと言える。厳密にいえば、高度によってつらさの感じ方が変わってくるのだが、(特に3000mを超えるあたりから酸素濃度が薄くなって、その影響でよりつらく感じる)ここではとりあえず無視する。だから、極端な例をあげると、長い時間登って下りる日帰りの山行は、とてもつらく感じることが多い。しかし、不思議なことに時間というものは、つらい思いというものを忘れさせてくれるものだ。辛かったということは覚えていても、そのときどれくらい辛かったのか、そのときのしんどさというものは、時が経つにつれてだんだん薄れていく。逆に楽しい思い出は息が長い。楽しかったときのことを思い出すとそのときの楽しい気持ちがよみがえる。そして、そんな思い出は心をリフレッシュしたいとき、心を活性化したい時に何度でも使える。まさにそれは心の財産と言える。
 初日と二日目はトレッキングに来たことを本当に後悔した。とてもつらかったのだ。その反面、僕たちにとってはすばらしい財産を得たとも言える。時間が経って、辛い思い出が希薄になるにつれ、それは輝きを増していくに違いない。(昭浩)

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